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NIKKEI 225 × くりっく株365

日経平均株価。
それは、日本経済をはかる
75年の「ものさし」

1949年の東京証券取引所・取引再開とともに歩みはじめ、バブルの頂点も、失われた30年も、そして史上初の7万円も、ひとつの連続した数字で記録してきた指数――日経平均株価(日経225)。その歴史・計算のしくみ・TOPIXとの違いから、9月に集中する「配当相当額」、そして取引所CFD「くりっく株365」での向き合い方まで、一枚で読み解く保存版です。

2026/8/21 終値
66,016.36円
前日比 −200.43円(反落)
史上最高値(取引時間中)
72,831.73円
2026年6月22日
1989年バブル高値
38,915.87円
超えるまでに34年
算出開始
1950
1949/5/16へ遡及・初値176.21円
広告審査番号:D26221
Photo: “Marunouchi skyline (dawn)” / KimonBerlin / Wikimedia Commons / CC BY-SA 2.0(トリミング・色調整あり)
第一章

いま、日経平均はどこにいるのか

Where we stand — August 2026

2026年の日経平均は、6月に史上初の7万円台へ駆け上がり、7月に6万円まで急落し、8月半ばに6万8千円台まで戻したのち、下旬は6万6千円台へ反落する――2万円超のレンジを往復する、歴史的なボラティリティの中にあります。TOPIXも8月に史上最高値を更新し、日本株は「回復」ではなく「更新」の局面に入りました。

72,366.34円
2026年 終値ベース高値(6/25)
取引時間中の最高値は72,831.73円(6/22)
+31.1%
年初来上昇率(8/21終値・前年末終値比)
4,067.29
TOPIX(8/21終値)
8月に史上最高値を更新
16.2
NT倍率(日経平均÷TOPIX)
歴史的高水準=値がさ株主導
50,00055,00060,00065,00070,00075,0001月2月3月4月5月6月7月8月6/22 年初来高値(清算価格) 73,123円1/2 年初来安値 51,131円8/21 65,968円2026年の値動き(くりっく株365 日経225・日次清算価格)「5万円 → 7万3千円 → 6万円 → 6万8千円 → 6万6千円」。高値と安値の差は約2万2千円と、値幅の大きい一年になっています。出所:東京金融取引所 取引データ(2026年リセット銘柄の清算価格)を基に当社作成
2026年リセット銘柄の日次清算価格。1月の5万1千円台から6月に7万3千円台まで上げ、7月末に6万円近辺まで調整。8月は中旬に6万8千円台まで戻した後、下旬は米金利上昇などを背景に6万6千円近辺へ反落しました。取引時間中ベースでは6/22に72,831.73円の史上最高値、3/31に年初来安値50,558.91円を付けています(現物指数)。

この相場を主導しているのは、アドバンテストをはじめとするAI・半導体関連の「値がさ株」です。8月14日にはアドバンテストが上場来高値を連日更新し、この1銘柄だけで日経平均を224円押し上げました。一方で、日銀の政策金利は1.0%、長期金利は2.8%前後と「金利のある世界」が定着し、株高・金利高・円安が同時進行してきたという、過去の日本にはなかった風景が広がっています。値がさ株がなぜ日経平均をこれほど動かすのか――その答えは、この指数の「計算のしくみ」と「75年の歴史」の中にあります。

第二章

75年の歴史 ― 焼け跡の176円から、7万円まで

A 75-year chronicle

日経平均は、戦後日本の再出発と同時に生まれました。1949年5月16日、GHQ占領下で東京証券取引所が売買を再開したその日から算出(遡及)が始まり、初値は176円21銭。以来75年、この国の景気・産業・政策のすべてが、たった一本の折れ線に刻まれてきました。

復興・特需高度経済成長石油危機安定成長バブル“失われた30年”アベノミクス〜100円2005001,000円2,0005,00010,000円20,00050,0001950195519601965197019751980198519901995200020052010201520202025朝鮮戦争特需で反騰へ東京五輪第1次石油危機プラザ合意1989/12/29バブル高値 38,915.87円金融危機・山一破綻リーマン・ショックアベノミクス始動コロナ・ショック2024/2 34年ぶり高値更新 → 3月に初の4万円2026/6 史上初の7万円台8/21終値 66,016.36円日経平均株価の75年(1949–2026年・年末終値、2026年は8月21日終値)対数目盛:等間隔が「同じ騰落率」を表します。1949年の算出値176.21円から約390倍。出所:日本経済新聞社「日経平均プロフィル」ヒストリカルデータ等の公表値(終値ベース)を基に当社作成
対数目盛の超長期チャート。1989年の高値38,915.87円(赤い破線)を上抜けるまでに34年を要した一方、算出開始からの約77年で指数はおよそ390倍になりました。1970年前後の凹みは「いざなぎ景気」後の反動と国際通貨不安、1990年からの長い下りが「失われた30年」です。

名前も、算出者も、変わってきた

意外に知られていませんが、この指数はもともと東京証券取引所が算出する「東証修正平均株価」でした。米ダウ・ジョーンズ社の計算方式(ダウ式)を採用したことから長く「ダウ平均」「日経ダウ」と呼ばれ、算出は1970年に日本経済新聞社グループへ引き継がれます。「日経平均株価」という現在の名称になったのは1985年。つまり、指数そのものは75年間ひと続きのまま、名前と担い手だけが時代とともに変わってきたのです。

この「連続性」こそ日経平均の最大の資産です。祖父母の世代が見ていた数字と、いまスマートフォンに表示される数字が、同じ計算思想でつながっている。世界でもダウ工業株30種平均(1896年〜)と並ぶ、数少ない“生きた経済史料”といえます。

新幹線の車両ラインアップ
“JR East Shinkansen lineup at Niigata Depot 200910” / DAMASA / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0

年表 ― 指数に刻まれた戦後日本

ここだけの補足:「日経平均は過去とつながっている」と言いつつ、実は2000年4月に一度だけ大きな“段差”があります。ITバブル期の定期見直しで一気に30銘柄を入れ替え、値がさのハイテク株を大量採用した結果、指数水準が実態より切り下がったと指摘される出来事です(除外された低位株と採用された値がさ株の水準差によるもの)。長期チャートを読むときは、この断層の存在を知っておくと一段深く読めます。以後、入れ替えは原則「1回の定期見直しで3銘柄まで」と緩やかに行うルールになりました。
第三章

計算のしくみと変遷 ― なぜ「値がさ株」で動くのか

Price-weighted by design

日経平均は「東証プライム上場銘柄から選ばれた225銘柄の株価を、調整して平均した指数」です。時価総額(会社の大きさ)ではなく株価そのものを足し上げる「株価平均型」であること――これが、TOPIXとの違いも、値がさ株の影響力も、すべてを説明する出発点です。

日経平均の計算式 ― 「単純な平均」ではない、連続性を守る仕掛け日経平均株価 = Σ( 構成銘柄の株価 × 株価換算係数 ) ÷ 除数225銘柄の「調整後株価」を合計し、除数で割る ― ダウ・ジョーンズ式を受け継ぐ株価平均型株価換算係数銘柄ごとに設定される乗数(0.1〜10など)。株式分割・併合や、かつての「みなし額面」の違いを吸収し、値がさ株を採用しやすくする役割も。2021年10月に、50年使われた「みなし額面」方式から移行しました。除数(Divisor)銘柄入れ替えや係数変更、分割があっても指数の値が飛ばないよう調整される分母。1950年の算出開始時は「225」でしたが、調整を重ねて現在は30前後まで小さくなっています。除数が小さいほど、1つの銘柄の値動きが指数を大きく動かします。ウエートキャップ特定銘柄への偏りを抑える上限。2022年10月導入時は12%、段階的に引き下げられ現在は10%。超過した銘柄は株価換算係数を引き下げて調整します(例:2026年4月・アドバンテスト 8→7.2)。出所:日本経済新聞社「日経平均株価 算出要領」等の公表内容を基に当社作成(除数の水準は時点により変動します)

「分割」があっても数字が飛ばない理由 ― 除数という発明

ある構成銘柄が1株を2株にする株式分割を行うと、株価は理論上半分になります。何もしなければ、指数はその分だけ“見かけ上”下がってしまう。これを防ぐのが分母の「除数」で、資本異動が起きるたびに、指数の値が前日と連続するように除数側を調整します。1950年の算出開始時、除数は文字どおり銘柄数の「225」でした。それが75年分の分割・入れ替え調整を積み重ねた結果、現在は30前後まで縮小しています。除数が小さいということは、構成銘柄の株価合計のわずかな変化が、指数では増幅されて表れるということ。値がさ1銘柄の100円の値動きが、日経平均を数円動かす構造は、ここから生まれています。

また2021年10月には、銘柄ごとの株価水準を調整する仕組みが、半世紀続いた「みなし額面」方式から「株価換算係数」方式へ改められました。新規採用銘柄に0.1〜0.9といった係数を設定できるようになったことで、従来は影響が大きすぎて採用しにくかった超値がさ株(例:株価数万円の銘柄)も指数に迎え入れられるようになった――これも近年の大きな制度変更です。

誰が、どうやって225銘柄を選ぶのか

項目ルール(2026年8月現在)
選定対象東京証券取引所プライム市場に上場する銘柄(普通株)
選定基準過去5年の売買代金などで測る市場流動性と、日経独自の業種分類を6つのセクターに集約した業種間バランスの2軸
定期見直し年2回(4月・10月の第1営業日に実施、判定基準日は1月末・7月末)。入れ替えは1回3銘柄まで
ウエート上限1銘柄の構成比が基準日時点で10%を超えると、株価換算係数を引き下げて調整(2022年10月導入時は12%、段階的に引き下げ)
直近の適用例2024年秋にファーストリテイリングへ初適用。2026年4月には基準日(1/30)時点で構成比12.8%だったアドバンテストに適用され、係数が8→7.2に
2026年秋の改定日経の業種分類に「情報通信」セクターを新設するルール改定が2026年7月に公表され、今秋の定期見直しから適用予定
ウエートキャップ(上限10%)はこう働く① 判定定期見直しの基準日(1月末・7月末)時点でウエートを判定基準日2026/1/30:アドバンテスト② 超過上限10%を超えていれば、株価換算係数を引き下げ係数 8 → 7.2に調整(2026/4/1から)③ 反映指数への影響度が下がり、パッシブ資金は機械的に売買適用例:ファーストリテイリング(2024年秋 初適用)導入は2022年10月(当初12%)。上限は段階的に10%へ引き下げられました。判定・調整は年2回の定期見直しに合わせて行われます。

「歴史の継承」ゆえに変えられない ― その光と影

「時価総額型のほうが合理的なら、作り替えればいいのでは?」――そう思われるかもしれません。しかし日経平均の価値の源泉は、1949年から途切れず続く一本の系列そのものにあります。計算思想を変えれば過去との比較可能性が失われ、この指数を対象に組成された先物・オプション・ETF・投資信託・証拠金取引という巨大なエコシステム(大阪取引所の日経225先物は世界有数の流動性を持ちます)も土台から揺らぎます。だからこそ日経平均は、キャップや係数といった「継ぎ手」を加えながらも、骨格である株価平均型を変えない。その帰結として、次のような明確な長所と短所を併せ持ちます。

株価平均型であることの強み

  • 75年の連続性:戦後日本の全局面を同じ物差しで比較できる、世界的にも希少な指数
  • 速報性・直感性:構成銘柄の株価を見れば指数への影響が暗算でき、ニュースの理解が速い
  • 圧倒的な商品エコシステム:先物・オプション・ETF・投信・くりっく株365など、連動商品の厚みと流動性は国内随一
  • 知名度:「日経平均」は事実上、日本経済の代名詞。海外投資家が最初に見る日本の数字

構造的な弱点(知って使う)

  • 値がさ株偏重:会社の規模ではなく株価の高さで影響力が決まる。上位数銘柄で指数の3割前後が動くことも
  • 市場全体を代表しない:225銘柄・株価加重のため、東証全体の時価総額の動き(=TOPIX)と乖離することがある(NT倍率の変動)
  • 企業側の資本政策に左右される:株式分割をすると(係数調整はあるものの)指数内の存在感が変わるため、分割判断に影響するとの指摘も
  • 入れ替え・キャップに伴う機械的売買:パッシブ資金のリバランスが、対象銘柄の需給を一時的に大きく歪める

大切なのは「どちらの指数が正しいか」ではなく、日経平均は“株価”の平均、TOPIXは“時価総額”の合計という設計の違いを理解したうえで、目的に応じて読み分けることです。次章で、その相棒であるTOPIXと正面から比べてみます。

第四章

TOPIXとの違い ― 測っているものが、そもそも違う

Nikkei 225 vs TOPIX

「日経平均は上がったのにTOPIXは冴えない」「今日はTOPIXだけ最高値」――2つの指数が別の動きをする日は珍しくありません。それは片方が間違っているのではなく、設計思想がまったく異なるからです。

項目日経平均株価(日経225)TOPIX(東証株価指数)
算出者日本経済新聞社JPX総研(日本取引所グループ)
起点1949年5月16日(算出開始1950年)1969年7月1日(基準日1968/1/4=100)
方式株価平均型(株価×株価換算係数の合計÷除数)浮動株調整後・時価総額加重型
単位円・銭ポイント
銘柄数225銘柄に固定(プライムから選定)約1,700銘柄 → 再設計中(下記)
影響が大きい銘柄株価の高い「値がさ株」(アドバンテスト、ファーストリテイリング等)時価総額の大きい銘柄(トヨタ自動車等)
入れ替え年2回・各3銘柄まで+臨時(上場廃止等)年1回の定期入替へ移行(2026年10月〜)
偏り対策ウエートキャップ10%浮動株比率調整(大株主保有分を除外して算出)
性格ハイテク・グロース・輸出企業の色が濃い「日本の顔」内需・金融・バリューも含む「市場全体の体温計」
主な連動商品日経225先物・オプション、ETF、投信、くりっく株365(日経225/マイクロ)TOPIX先物、ETF、投信(GPIF等の運用ベンチマーク)
8倍10倍12倍14倍16倍199020002010202020262026/8/21 16.2倍2005年末 9.8倍NT倍率(日経平均÷TOPIX・年末値と直近)値がさハイテク主導の局面では上昇。歴史的な高水準です。出所:日本経済新聞社・JPX公表値を基に当社作成
NT倍率=日経平均÷TOPIX。半導体・AIなど値がさハイテクが主導する局面では日経平均が先行して上昇し、倍率が切り上がります。2026年8月は16倍台と、統計的にも突出した水準です。

NT倍率 ― 2つの指数の「体温差」を測る

日経平均をTOPIXで割った「NT倍率」は、市場のどこにお金が向かっているかを映す温度計です。倍率の上昇は値がさハイテク主導、低下は銀行・内需などTOPIX型の銘柄への広がりを示します。2000年代は10倍前後が定位置でしたが、足元は16倍台。いまの日経平均の強さの相当部分が、少数の値がさAI関連株に支えられていることを、この1本の線が物語っています。

逆にいえば、TOPIXが最高値を更新しながらNT倍率が低下する日は「相場の裾野が広がっているサイン」。日経平均だけを見ていては気づけない変化です。2つの指数はライバルではなく、セットで読むための道具だとお考えください。

いまだけの大事件 ― TOPIXは「つくり替え」の真っ最中

比較のうえで絶対に外せないのが、進行中のTOPIX大改革です。かつてTOPIXは「東証一部の全銘柄」を機械的に含む指数でしたが、2022年の市場再編を機に構成の絞り込みが始まりました。第1段階(2022年10月〜2025年1月)で約2,200銘柄から約1,700銘柄へ。そして今年2026年10月末から第2段階が始まります。判定基準日は2026年8月最終営業日――まさに今月末です。

TOPIXは今、つくり替えの最中 ―「第2段階」のスケジュール2022/10〜2025/1第1段階流通株式時価総額100億円未満を段階除外。約2,200 → 約1,700銘柄に2026/8末判定基準日浮動株時価総額・売買代金回転率で毎年評価(全市場区分が対象に)2026/10末初回定期入替継続とならない銘柄は以後8回×12.5%ずつウエート低減2028/7低減完了構成銘柄は約1,000〜1,200程度へ絞り込みの見込み(各社試算)日経225が「225銘柄・株価平均」という骨格を75年守り続けるのに対し、TOPIXは市場再編に合わせて構成そのものを再設計しています。出所:JPX公表資料、大和総研・三井住友DSアセットマネジメント等のレポートを基に当社作成

第2段階では、対象がプライムだけでなくスタンダード・グロース市場にも広がる一方、浮動株時価総額と年間売買代金回転率という数値基準で毎年ふるいにかけられ、継続できない銘柄は2026年10月から2028年7月にかけて8回・12.5%ずつウエートを落とされます。証券各社の試算では、最終的な構成銘柄は約900〜1,200程度(例:大和証券は初回入替後約930銘柄、JPXの試算ベースでは約1,050銘柄)まで絞り込まれる見通しです。「225銘柄・株価平均」という骨格を75年変えない日経平均と、市場構造に合わせて自らを再設計するTOPIX。2つの指数の哲学の違いが、これほど鮮明に出た時代はありません。

第五章

世界のなかの日経平均 ― 34年の空白と、その先へ

Nikkei in the world

1989年末を100として、主要国の株価指数を同じスタートラインに並べてみます。ここに、日本株のこれまでと、いまの位置が凝縮されています。

2550100200400800160019901995200020052010201520202025NYダウ 1,545DAX®(配当込み) 1,112FTSE100 337日経平均 170(2026/8/21)日経平均 103(2024年末)世界の主要株価指数と比べる ― 1989年末=100(対数目盛・年末値)日経平均が1989年の高値を回復するまで34年。同じ期間に米国株はおよそ15倍になりました。2024年以降、日本株は「取り戻す」局面から「更新する」局面へ。※DAX®は配当込みで算出される指数。出所:各指数の公表値(年末終値)を基に当社作成
1989年末=100(対数目盛・年末値、日経平均のみ2026/8/21を点線で追記)。米国のNYダウは同期間で約15倍、ドイツDAX®(配当込みで算出される指数)は約11倍、英FTSE100は約3.4倍。日経平均は2024年末にようやく100を回復し、2026年8月21日時点では170まで浮上しました。
ニューヨーク証券取引所の正面入口
“New York Stock Exchange (Main Entrance)” / Roland Arhelger / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0

「取り戻す」から「更新する」へ

この35年あまり、世界の投資家にとって日本株は「1989年を超えられない市場」でした。米国株が配当を除いても15倍になる間、日経平均は高値の8割減まで沈み、元の水準に戻るだけで34年。世界の株式指数の歴史でも異例の長い空白です。

潮目が変わったのは2024年。史上最高値の更新、東証によるPBR・資本コスト改革、持続的な賃上げとインフレの定着、そして2025年の5万円、2026年の7万円。日経平均はいま、「失われた期間の回復」ではなく「新しい水準の探索」というフェーズにあります。もっとも、上のチャートが示すとおり、長期でみた各国との差はなお大きく、円安の寄与(ドル建てでは景色が変わる)や、DAX®のように配当込みで計算される指数との単純比較には注意が必要です。数字の伸びだけでなく「何を測った指数か」を添えて読むのが、国際比較の作法です。

第六章

NISA時代に、日経平均を知る意味

Why the index literacy matters now

2024年に始まった新NISAは、日本の家計と株式市場の距離を一変させました。金融庁の調査では、2025年12月末のNISA口座数は約2,826万・累計買付額は約71兆円。買付額はこの1年だけで36%増え、2025年の年間新規買付は約18.8兆円(成長投資枠約12.6兆円・つみたて投資枠約6.2兆円)にのぼります。

2,826万口座
NISA口座数(2025年12月末・前年比+10%)
71兆円
累計買付額(同・前年比+36%)
18.8兆円
2025年の年間新規買付額
3,400
政府の口座数目標(2027年末)― 達成率8割

この巨大な資金の受け皿の中心にあるのがインデックス投資であり、国内株では日経平均連動型の投資信託・ETFが定番の選択肢として買付上位に並び続けています。つまりいま、何百万という家計の資産形成の成績表が「日経平均の動き」で決まる時代になった、ということです。積立を続ける方にとっても、これから始める方にとっても、自分のお金が連動している“ものさし”の中身――何銘柄で、どう計算され、なぜ動くのか――を知ることは、最も費用対効果の高い投資教育だと当社は考えます。

大切なご注意:くりっく株365はNISAの対象外です。NISA(少額投資非課税制度)の対象は上場株式や投資信託等であり、本ページでご紹介する「くりっく株365」をはじめとするデリバティブ取引(証拠金取引)は非課税制度の対象になりません。くりっく株365の損益は申告分離課税(税率20.315%)の対象です。本章は「日経平均という指数を理解する意義」をお伝えするものであり、NISAでくりっく株365が取引できることを意味しません。

そのうえで、日経平均との関わり方には複数の「器」があります。長期の資産形成としてコツコツ積み立てる器(投資信託・ETF=NISA活用可)と、相場観に応じて機動的に活用する器(先物や、次章のくりっく株365)。両者は優劣ではなく役割の違いです。指数への理解が深まるほど、それぞれの器の使いどころも明確になります。

第七章

くりっく株365の「日経225」― 取引所に上場した、指数への入口

TFX listed CFD

「くりっく株365」は、株式会社東京金融取引所(TFX)に上場する取引所株価指数証拠金取引の愛称です。店頭(相対)ではなく公的な取引所での取引であること、複数のマーケットメイカーが競って価格を提示するため投資家に有利な価格形成が働くこと、証拠金が取引所に預託され全額保全されること――「取引所取引」ならではの安心感を土台に、日経225を少額の証拠金で、ほぼ24時間・祝日も、買いからも売りからも取引できます。当社・大起証券はくりっく株365の取引参加者です。

おかげさまで上場15周年 くりっく株365

くりっく株365は2010年11月の上場から、2025年に15周年を迎えました。姉妹市場の取引所FX「くりっく365」(2005年上場)は同じく20周年。ロゴは東京金融取引所の周年記念ロゴです。

上場来16年 ― 10,082円から65,968円へ

日経225証拠金取引(決済期限なし)日経225リセット付証拠金取引(2020/10/26〜)10,00020,00030,00040,00050,00060,00070,00020112013201520172019202120232025上場日 2010/11/22 清算価格 10,082円2026/8/21清算価格 65,968円(約6.5倍)くりっく株365「日経225」上場来の歩み(2010/11/22–2026/8/21・週次清算価格)2021年3月に決済期限のない旧取引は上場廃止となり、リセット付取引へ移行(系列は各年1〜9月=当年リセット銘柄、10〜12月=翌年リセット銘柄で接続)。出所:東京金融取引所 取引データ(清算価格)を基に当社作成
上場初日(2010年11月22日)の清算価格10,082円から、2026年8月21日は65,968円。約6.5倍です。網掛けの切り替わりが2020年10月の「リセット付」への移行点。

沿革 ― ラインナップはこう広がった

  • 201011/22 くりっく株365 上場日経225・DAX®・FTSE100・FTSE中国25の4銘柄でスタート(FTSE中国25は2015年11月で取引終了)。
  • 20166/27 NYダウ証拠金取引が上場米国を代表する株価指数を「円建て」で取引できる商品として人気に。
  • 2020–21「リセット付」へ全面移行2020年10月26日にリセット付4銘柄が上場(NYダウは1/10に小口化)。決済期限のない旧取引は2021年3月に上場廃止。
  • 2021–23ETF型・米指数の拡充金ETF・原油ETF(2021/9/13)、NASDAQ-100(2022/2/28)、ラッセル2000・銀ETF・プラチナETF(2023/9/11)が順次上場し、現在の11銘柄体制に。
  • 20249/30 日経225マイクロ 上場取引単位を1/10(日経平均×10円)に小口化。2026年は年間取引数量で本体を上回るペースで浸透しています。
0500万枚1,000万枚1,500万枚2,000万枚2011201220132014201520162017201820192020202120222023202420252026※日経225(×100円)日経225マイクロ(×10円・2024/9/30上場)マイクロが本体を逆転年間取引数量 ― 「小口化」で広がる裾野(くりっく株365 日経225/マイクロ)※2026年は8月21日までの合計。2026年はマイクロ(約967万枚)が日経225本体(約826万枚)を上回っています。出所:東京金融取引所 取引データを基に当社集計
日経225(青)とマイクロ(金)の年間取引数量。2024年の乱高下で本体が過去最多を記録した後、マイクロが急速に主役へ。「まず小さく始める」入口が整いました。

取引要綱(日経225/日経225マイクロ)

項目日経225リセット付証拠金取引日経225マイクロリセット付証拠金取引
取引対象日経225(日経平均株価)
取引単位日経平均株価 × 100円日経平均株価 × 10円
呼値/最小変動額1円 / 100円0.1円 / 1円
想定元本のめやす約660万円(清算価格65,968円×100)約66万円(同×10)
必要証拠金(当社)313,390円/枚(2026/8/24週適用)31,360円/枚(同)
取引時間8:30〜翌朝6:00(米国夏時間期間は〜翌朝5:00)。土日と1月1日を除きほぼ毎日・祝日も取引可能。取引最終日を迎えた銘柄は当日15:25まで
取引期間約15カ月(毎年9月第2金曜日の翌取引日に開始 → 翌年12月第2金曜日がリセット日、その前取引日が取引最終日)
決済方法反対売買(差金決済)。取引最終日までに決済されない建玉は、日経225先物(12月限)の最終清算に係る価格を基にした「リセット値」で自動決済
配当相当額買い=受取り/売り=支払い(配当落ちの都度。詳細は次章)
金利相当額買い=支払い/売り=受取り。1日あたり=清算価格×取引単位×適用金利(日銀の政策金利)÷365
委託手数料(税込)インターネットコース:1枚あたり片道44円〜440円/総合コース:同396円〜3,960円(銘柄により異なります)

必要証拠金額は取引所基準額以上で当社が定め、所定の計算式により毎週見直されます(上記は2026年8月24日〜28日適用の額。最新額は当社ウェブサイトの「CFD必要証拠金一覧」でご確認ください)。取引時間・休業日は東京金融取引所が定めており、臨時に変更される場合があります(2026年9月の取引時間について、TFXから2026年7月31日付で変更のお知らせが出ています。取引前に最新の取引カレンダーをご確認ください)。

現物株・投資信託・先物と、どこが違う?

項目くりっく株365(日経225)日経225先物(大阪取引所)現物株・ETF・投信
資金証拠金(想定元本の一部)でレバレッジ取引証拠金でレバレッジ取引原則、購入代金の全額
配当配当相当額あり(買いは受取り・売りは支払い)なし(理論価格に織り込み済み)配当金・分配金あり
期限リセットまで最長約15カ月(乗換可)限月ごと(3・6・9・12月等)なし(無期限保有可)
売りから可能可能原則不可(信用取引を除く)
取引時間8:30〜翌朝、祝日も日中+ナイトセッション(祝日取引あり)取引所の立会時間
NISA対象外対象外対象(要件あり)
税制申告分離20.315%・先物取引等と損益通算、損失は3年繰越可同左申告分離20.315%(株式等)
リスクについて:くりっく株365は証拠金取引であり、取引額が預託証拠金に比べて大きくなるため、相場変動により差入証拠金以上の損失が発生するおそれがあります。金利相当額の支払いが配当相当額の受取りを上回る場合があります。元本・収益は保証されません。取引の際は契約締結前交付書面等を必ずご確認ください(ページ末尾の重要事項をご覧ください)。
第八章

9月、配当の季節 ― 「配当相当額」を正しく理解する

September dividends

日本企業の決算は3月期に集中し、配当の権利確定は3月末と9月末に山ができます。日経225の構成銘柄も同じ。だからくりっく株365の「配当相当額」も、毎年この2つの月に大きく発生します。まもなく訪れる9月末は、1年に2度の“配当の季節”です。

権利付最終日この日の取引終了時点で買い建玉を保有翌取引日配当相当額が口座に反映(買い=受取り)同じ朝の取引開始価格には「配当落ち」が生じるここが肝心:配当相当額は「タダで受け取れるお金」ではありません。指数の構成銘柄が配当の権利を落とすと、理論上はその分だけ指数自体が下落します(配当落ち)。受け取る配当相当額と、価格の下落は表裏一体。売り建玉は逆に、配当相当額を支払います(同額)。配当相当額の受け払いのしくみ(日経225)注:配当相当額は予想配当に基づき東京金融取引所が算出。株主優待等の株主権はありません。
020,00040,00060,00080,00020,390201221,606201325,376201429,630201531,745201634,916201740,834201843,750201941,885202045,375202156,896202261,075202366,272202477,253202543,110※2026※2026年は8月21日までの合計(以降未確定)。買い建玉は受取り、売り建玉は同額の支払いです。過去の実績値であり、将来の受払額を保証するものではありません。3月分9月分その他の月配当相当額の実績(日経225・買い1枚あたり年間合計)― 3月と9月に集中年間合計は2012年20,390円 → 2025年77,253円と約3.8倍。日本企業の増配・株主還元拡大が、指数ベースの配当にもそのまま表れています。出所:東京金融取引所「過去の配当・金利相当額実績」(当社にて日次データと照合済み)
買い建玉1枚あたりの年間配当相当額(日経225)。当社が東京金融取引所の日次データと突き合わせて集計した確定値です。売り建玉の場合は同額の支払いになります。
010,00020,00030,00016,005201914,282202018,193202122,336202222,527202326,159202429,9992025「9月分」の配当相当額(買い1枚あたり)3年連続の増加で3万円に接近(2025年9月:29,999円)。出所:東京金融取引所公表値
9月分だけを取り出した推移。2023年22,527円→2024年26,159円→2025年29,999円と3年連続で増加。なお2026年3月分は34,963円と、月間として過去最大でした。
020,00040,00060,00080,00045,375202156,896202261,075202366,2724,688202477,25320,667202543,11032,0062026※“金利のある世界”のコスト ― 配当と金利(1枚あたり年間)配当相当額(買いは受取り)金利相当額(買いは支払い)※2026年は8月21日までの実績。日銀の利上げに伴い、買い建玉が支払う 金利相当額(適用金利=日銀の政策金利)が増加しています。出所:東京金融取引所公表値
受取り(配当相当額)と支払い(金利相当額)を年別に対比。ゼロ金利期はコストがほぼゼロでしたが、2026年は7カ月で28,180円と、配当(同43,110円)に対する比率が大きく上がっています。
金利相当額のめやす(買い建玉の支払い)1枚1日あたり = 清算価格 × 100円(マイクロは×10円) × 適用金利(日銀の政策金利) ÷ 365例:清算価格 65,968円 × 100 × 年1.0% ÷ 365 ≒ 181円/日(月およそ4千〜6千円)政策金利がゼロだった時代(〜2023年)は金利相当額もほぼゼロでした。「金利のある世界」では、買い建玉の保有コストとして必ず織り込んで考える必要があります(売り建玉は受取り)。

「配当取り」を考える前に ― 5つの問いに正面から答えます

権利付最終日にだけ買えば、配当相当額を“抜き取れる”のでは?
受け取ること自体は可能です。権利付最終日の取引終了時点で買い建玉を保有していれば、翌取引日に1枚あたりの配当相当額(2025年9月実績で29,999円)が口座に反映されます。しかし翌取引日の取引開始時には、理論上ほぼ同額の「配当落ち」で価格が下落します。受取りと値下がりは表裏一体であり、「配当相当額だけを確実に抜き取る必勝法」は仕組み上存在しません。加えてスプレッド・手数料・当日の相場変動リスクを負うため、権利日前後だけの短期出入りは、狙いどおりにならない可能性が十分あります。
では、配当相当額にはどんな意味があるのですか?
本質は「保有し続ける買い方への、指数ベースのインカム」です。日経225先物には配当がなく(理論価格に予め織り込まれます)、現物株のように保有期間中の配当を受け取りながら指数に乗る、という体験は先物ではできません。くりっく株365では、買い建玉を持ち続ける限り配当落ちの都度、配当相当額が積み上がります。2025年の年間実績77,253円は、同年末の想定元本(約503万円)に対して約1.5%に相当しました(過去の実績であり、将来の受払額・比率を保証するものではありません。金利相当額の支払い前の数値です)。増配・自社株買いが広がる今の日本株では、この「指数の配当力」自体が年々成長している――それが年別グラフの示す事実です。
売り建玉で9月末をまたぐと、どうなりますか?
配当相当額を支払います(2025年9月なら1枚29,999円)。戻り売りやヘッジの売り建玉を9月末まで持ち越す場合は、このコストを最初から織り込んでおく必要があります。代わりに売り方は金利相当額を受け取りますが、月数千円規模であり、9月末の配当支払いのほうがはるかに大きい点にご注意ください。「配当の季節」は、買い方には受取りの、売り方には支払いの季節です。
2026年9月の権利付最終日と金額は、いつ分かりますか?
日別のスケジュールと1枚あたり配当相当額は、東京金融取引所が「配当・金利カレンダー」(Excel)で公表・更新しています。例年、9月末の大型分の権利付最終日は月末の2営業日前(2025年は9月26日)で、2026年は9月28日(月)となる見込みです(確定はTFXカレンダーでご確認ください)。金額は予想配当に基づきTFXが算出するもので、市場には第三者による予想値も流通しますが、無配や修正で変わり得ます。確実なのは「確定値はTFXが公表する」ことと、「3月・9月に集中する」という構造です。
配当を意識した実際の進め方は?
当社は次の5点の順でご確認いただくことをお勧めします(特定の売買を推奨するものではありません)。
  1. カレンダーの確認 ― TFXの配当・金利カレンダーで、9月の権利付最終日と予定額、そして自分の建玉のリセット銘柄を確認する。
  2. コストの差し引き ― 買い方は「受け取る配当相当額 −(保有日数分の金利相当額+手数料)」で手取りを考える。政策金利1.0%のいま、1枚1日約181円の金利負担は無視できません。
  3. “配当落ち日”前後の値動きを想定 ― 権利落ち当日は指数が理論上下落するうえ、9月30日は日経平均の銘柄入れ替えとTOPIX関連のリバランス売買も重なりやすく、需給が荒れがちです。逆張り・順張りいずれでも、値幅への備え(資金余力・注文の置き方)を先に。
  4. リセットとロールオーバー ― 9月は2027年リセット銘柄の取引開始月。長く持つつもりなら、12月に取引最終日を迎える2026年リセット銘柄からの乗り換え時期と費用も計画に含める。
  5. 証拠金とロスカット水準の点検 ― 必要証拠金は毎週見直されます。配当狙いの建玉が相場急変で強制決済されては本末転倒。想定元本(1枚約660万円)に見合う余裕資金を。
「リセット」の年間サイクル ― 毎年9月に始まり、翌年12月に終わる2025/92025/122026/92026/122027/12「2026年リセット」銘柄(2025/9/15 取引開始 → 2026/12 取引最終日)「2027年リセット」銘柄(2026/9/14 取引開始 → 2027/12)9〜12月は新旧が並行上場(ロールオーバー期間)● 取引開始日=毎年9月第2金曜日の翌取引日(原則、月曜日)● リセット日=取引を開始した年の翌年12月第2金曜日。取引最終日=その前取引日(日経225の最終日は15:25まで)● 取引最終日までに決済されなかった建玉は、日経225先物(12月限)の最終清算に係る価格を基にした「リセット値」で自動決済されます● 長く保有したい場合は、新旧銘柄が並行して取引される重複期間に、新しいリセット銘柄へ乗り換え(ロールオーバー)できます● リセット日が異なっても配当相当額は同額。ただしリセット日には金利・配当相当額は発生しません出所:東京金融取引所「くりっく株365」取引要綱・入門ガイドブックを基に当社作成
税制メモ:くりっく株365の差金等決済による損益(配当相当額・金利相当額の受払いを含む)は「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税(税率20.315%)の対象です。取引所FX(くりっく365)や日経225先物など他の先物取引等と損益通算でき、損失は確定申告により翌年以後3年間繰り越せます。個々の取扱いは税務署または税理士等の専門家にご確認ください。
第九章

市況ノート ― AI相場と「値がさ化」する日経平均

Editorial note: AI & the index

75年前、日経平均を動かしていたのは繊維と鉱山の株でした。高度成長期は鉄鋼と造船、バブル期は銀行と不動産、そして2026年のいま、指数の運転席に座るのはAI・半導体です。指数の中身は、その時代に日本が何で稼いでいるかを映す鏡でもあります。

東京証券取引所・上場の鐘
“The bell of listing, TSE” / Suicasmo / Wikimedia Commons / CC0 1.0

事実から確認します。8月14日の日経平均405円高のうち、アドバンテスト1銘柄の寄与が224円。同社の構成比は今年1月末時点で12.8%に達し、キャップ制度による調整(係数8→7.2)を受けてなお最大級の影響力を持ちます。ファーストリテイリング、ソフトバンクグループ、東京エレクトロンを加えた値がさ上位の顔ぶれは、いまや「AIインフラ関連」が中心。NT倍率16倍台という数字は、日経平均の上昇がこのテーマに強く依存していることを示します。一方で8月12日には、指数が上昇しながら日経平均ボラティリティー・インデックス(日経VI)が32台へ急騰する場面もあり、市場参加者が下振れへの備えを厚くしていることもうかがえます。

強気側の論拠(Bull case)

  • 世界的なAIデータセンター投資の拡大で、半導体製造装置・検査装置・電子部品という日本の得意領域に受注が集中している
  • 指数構成が「AI感応度の高い値がさ株」に寄っているため、テーマ継続なら日経平均は市場平均より強く反応しやすい
  • 企業業績は過去最高圏、賃上げ・株主還元の拡大、NISA経由の家計マネー流入という国内側の追い風も併走

慎重側の論拠(Bear case)

  • 少数銘柄への集中は逆回転も速い。AI投資の期待調整が起きれば、指数は実体経済以上に下押しされやすい(7月の1万2千円急落が実例)
  • 日経VIの急騰、株高と長期金利2.8%の同時進行など、過熱と警戒のサインが同居。日銀の追加利上げ観測も上値の重しに
  • 半導体は本来シクリカル(景気循環)産業。「今回は違う」が試されるのは、需要の踊り場が来たとき

本章は市場で見られている代表的な見方を対で整理した編集ノートであり、当社が特定の業種・銘柄・売買方針を推奨するものではありません。強気・慎重いずれの材料も同時に存在するのが2026年夏の実像です。だからこそ、値がさ構造・キャップ・NT倍率といった「指数のクセ」の理解が、ニュースの解像度を大きく変えます。投資に関する最終決定は、ご自身の判断でお願いいたします。

第十章

この秋、日経平均に起こること ― 2026年9〜12月カレンダー

Autumn 2026 schedule

2026年の秋は、配当・銘柄入れ替え・TOPIX改革・リセットという4つのイベントが数週間の間に連続する、指数イベントの「密集地帯」です。

時期(予定)できごとポイント
9月上旬日経平均・秋の定期見直し 結果公表基準日は7月末。10月1日算出分から反映され、連動ファンドのリバランス売買は9月30日の大引けに集中する見通しです。
9月14日(月)2027年リセット銘柄の取引開始(確定・TFX 8/14公表)9月第2金曜(9/11)の翌取引日。12月まで新旧銘柄が並行上場するロールオーバー期間に入ります。
9月28日(月)ごろ9月末配当の権利付最終日(見込み)この日の取引終了時点の買い建玉に配当相当額(売りは支払い)。確定日・金額はTFXの配当・金利カレンダーで公表されます。翌取引日は配当落ち。
9月30日(水)期末・入れ替えリバランス集中日権利確定日。日経平均入れ替えに伴うパッシブ資金の売買が大引けに集中しやすく、値動きが荒れやすい一日です。
10月1日(木)日経平均・新構成でスタート/業種分類に「情報通信」新設2026年7月公表のルール改定が初適用となる見直しです。
10月末TOPIX第2段階・初回定期入替基準日は8月最終営業日。継続外の銘柄は以後8回に分けてウエート低減へ。
12月10日(木)ごろ2026年リセット銘柄の取引最終日リセット日は12月第2金曜(12/11)。持ち越す場合は事前に2027年リセット銘柄への乗り換えを。

(ご参考)秋の定期見直しについて、報道ベースでは大手証券から採用・除外候補の予想が公表されています(例:SMBC日興証券は2026年7月23日、KOKUSAI ELECTRIC・JX金属・FOOD & LIFE COMPANIESの採用、カナデビア・ARCHION・トクヤマの除外を予想と報じられています)。これらはあくまで予想の報道であり確定情報ではなく、当社が個別銘柄の売買を推奨するものでもありません。結果は9月上旬の日本経済新聞社の発表でご確認ください。なお2026年春の見直しでは、キオクシアホールディングスとパンパシフィックインターナショナルホールディングスが新規採用されています。

くりっく株365で、この秋の日経225と向き合う。配当相当額・ほぼ24時間祝日取引・売りからの取引・1/10サイズのマイクロ――道具立ては揃っています。口座開設・商品内容のご相談は、大起証券の各店舗またはウェブサイトからお気軽にどうぞ。